格安SIMは大手キャリアに比べると通信速度が安定していません。利用者が増えることによって契約した頃より速度が落ちたり、1日の中でも昼の12時過ぎは回線が込み合って速度が下がったりします。
そこで重要になってくるのが、ネットワーク増強工事です。これが定期的に行われているかどうかで、通信速度の安定が保たれるかどうかが変わってきます。格安SIMを選ぶ上では、こうした部分にも注目する必要があります。
ネットワーク増強の頻度は各社さまざまですが、中でもLINEモバイルはネットワーク増強工事を頻繁に行っており、通信の安定化に努められています。11月には大規模な増強工事があり、特にソフトバンク回線は大きく改善されたと公式サイトでも発表されています。
そこで今回は、LINEモバイルのネットワーク増強で通信速度がどう変化したかについて調査した結果をお伝えします。
格安SIMのネットワークの仕組みについて
まずは格安SIMの通信の仕組みやネットワーク増強について解説します。仕組みは知ってる、またはLINEモバイルのネットワーク増強について早く知りたい場合は、この項目は飛ばして下さい。
大手キャリアと格安SIMの通信回線の違い
格安SIMは仮想移動体通信事業者(MVNO)、大手キャリアは移動体通信事業者(MNO)と呼ばれています。文字上で見ると違いは「仮想」があるかないかですが、これは自社で通信回線を持っているか否かです。
大手キャリアは自社で通信回線を持って運営していますが、格安SIMは大手キャリアから通信回線を借りて運営しています。回線を自社で持たなければ初期投資や維持費などのコストがかからないため、運営に必要な費用が大幅に抑えられます。
これが格安SIMの料金が大手キャリアに比べて安い理由の1つです。
格安SIMで通信速度が速くなったり遅くなったりする理由
先ほどお話しした通り、格安SIMは大手キャリアから通信回線を借りて運営しています。これはつまり、大手キャリアに比べると回線は弱いということです。
この状況を道路で例えてみましょう。大手キャリアが持っている5車線のうち、格安SIMは1車線借りるとします。4車線ある大手キャリアはたくさんの車が通っても快適ですが、1車線しかない格安SIMは交通量が増えるとあっという間に渋滞していまいます。
このため、格安SIMを使い始めた頃はまだユーザーが少なく通信速度が快適でも、ユーザーの増加に伴って回線が混雑し、通信速度が遅くなってしまうということが格安SIMでは起こりがちです。
また、格安SIMは混み合う時間帯に通信速度が落ちやすい傾向にあります。これも道路で例えると分かりやすく、交通量が少なければ車線が少なくても快適に通れますが、交通量が増えれば渋滞しやすいというイメージです。
平日の昼は仕事をしている多くの人にとって昼休みあたる時間帯なので、スマホを利用する人が急激に増えてネットワークが混雑してしまうというわけです。
ネットワーク増強工事を行って通信回線を強化
格安SIMの回線混雑による速度遅延を解決するためには、大手キャリアから借りる回線帯域を増やす、つまりネットワーク増強を行えば良いのですが、当然ながら大手キャリアに支払う費用も増えます。
格安SIMは料金を安くしている以上、安易にネットワーク増強を行えばコストが増えて運営が立ち行かなくなってしまいます。通信品質の最適化は通信キャリアの務めではありますが、大手キャリアと比べて格安SIMでは慎重にならざるを得ないと言えます。
そのため、ネットワーク増強については格安SIM会社によって実施状況が大きく異なります。ユーザーが増えても中々ネットワーク増強を行わなかったり、ドコモ回線・au回線・ソフトバンク回線から複数を提供している格安SIMは回線種類によってネットワーク増強の力の入れ具合に偏りがあったりします。
格安SIMを選ぶ上では、ネットワーク増強を定期的に行っているのか、マルチキャリア回線の場合はどの回線が快適なのかなども重要なポイントなんですね。
LINEモバイルのネットワーク増強について
LINEモバイルでは定期的にネットワーク増強を実施
先ほど格安SIMによってネットワーク増強の実施頻度は異なるとお話しましたが、LINEモバイルはその中でもかなりの頻度でネットワーク増強工事を行っています。
ネットワーク増強工事の予定日については毎月月初にLINEモバイル公式サイトに掲載され、誰でも確認できるようになっています。
ネットワーク増強が定期的に行われているということは、LINEモバイルのユーザーが順調に増えているという意味でもあります。
【2020年11月】ソフトバンク回線が大幅強化され混雑時の速度も向上
LINEモバイルはドコモ回線、au回線、ソフトバク回線の3種類を提供していますが、その中でもソフトバンク回線のネットワーク増強に力を入れています。これは、LINEモバイルはソフトバンクの子会社だからというのが大きな理由だと考えられます。
実際、ネットワーク増強工事予定日を見てもソフトバンク回線の頻度が一番高く、力の入れ様を目の当たりにすることができます。
そんなネットワーク増強の中でも、11月に行われた工事ではソフトバンク回線が大幅強化されており、全時間帯の増速はもちろん、昼や夜などの混雑する時間帯の速度も改善されました。
11月以降のLINEモバイルのソフトバンク回線を使っているユーザーの声を聞いてみても、速度アップは間違いないようです。
LINEモバイル無事に開通しました!
SoftBank回線にしてみました。
今の速度はこんな感じです。
確かにキャリアよりは遅いですが、SNSやブラウザを使う分には全く問題なくサクサク動いています。 pic.twitter.com/UItihwcCPc— まあ駅員 (@maa_ekiin1) November 19, 2020
LINEモバイルdocomo回線が速度制限か?ってくらい遅かったのでソフトバンク回線に切り替えた
1枚目:ソフトバンク
2枚目:docomo計測した時間や場所も違うとはいえ、こんな差が出るの…?🤔 pic.twitter.com/rAds8DjE3G
— SHEART/奇道ぱーぷる@楽曲制作承り〼 (@SHEART_KDP) November 20, 2020
混雑して速度が落ちやすい12時~13時の時間帯でも優秀な速度が出ています。この時間帯の格安SIMの速度は1Mbps以下が多いため、かなり速度が出ている方です。
LINEモバイルのソフトバンク回線速くなった pic.twitter.com/jTHIIKWBRB
— ǝɔᴉp🎲 (@ECiD_) November 30, 2020
実際に測ってみたら普通に使えるようになったーw
9月頃だと1M以下だったのに4Mも出るようになった(*^。^*)
普通に使う分にはストレス感じられないなぁ#LINEモバイル#ソフトバンク回線 https://t.co/ecUg1almOh pic.twitter.com/MMc5hr83oM— taka (@taka0323s) November 30, 2020
LINEモバイルのソフトバンク回線を実測してみた
管理人も実際にLINEモバイルのソフトバンク回線の通信速度を測ってみました。場所は東京都内です。
12時~13時
13時~14時
16時~17時
18時~19時
19時~20時
12時~13時はどの格安SIMでも大きく速度が落ち込みますが、5Mbps程度とけっこうな速度が出ています。夕方も混み合う時間帯のためもっと速度が落ちるかと思いましたが、15Mbps前後で安定していました。
それ以外の時間帯は40Mbps近く出ることもあり、十分に全時間帯を通して快適に使える通信速度です。
ちなみに各コンテンツを利用するのに必要な通信速度はだいたい下記表くらいだと言われています。
YouTubeの動画視聴も5Mbpsあれば高画質(760p)で止まらず見られるため、快適に使える速度が満たされていることがわかります。
11月のネットワーク増強工事前はここまでの速度は出ていなかったので、増強工事による通信速度増速は間違いありません。
LINEモバイルと他社格安SIMとの比較
LINEモバイルと他社格安SIMとの料金比較
ソフトバンク回線 音声通話SIM&データSIM 3GBの料金比較表
音声通話SIM | データSIM | |
---|---|---|
LINEモバイル | 1,480円 | 980円 |
QTモバイル | 1,550円 | 900円 |
mineo | 1,980円 | 990円 |
Y!mobile | 2,680円 | - |
LINEモバイルのソフトバンク回線の料金を、他社格安SIMのソフトバンク回線と比較してみます。
データSIMは差が100円以内ということでどの格安SIMもあまり変わりませんが、音声通話SIMの料金はLINEモバイルがかなり安いですね。加えて、LINEモバイルは上記の金額にLINEの使い放題が含まれています。
さらに上記金額に+280円、つまり1,760円/月だとTwitterとFacebookも使い放題に。さらに+480円、つまり1,960円だとInstagram・LINE MUSIC・Spotify・AWAも使い放題になります。
対象アプリは高速通信でどれだけ使ってもデータ消費ゼロ、さらに月間データ容量を使い切って速度制限がかかった場合でも対象アプリは制限の対象外となります。
1,960円で7つのアプリが使い放題になるプランでも、mineoの1,980円より安く利用できるため、金額的にも機能的にも優れている言えます。
LINEモバイルと他社格安SIMとの通信速度比較
他社格安SIMと通信速度を比較してみます。上記表はスマホの市場調査をしているMMD研究所の2020年3月の調査結果です。
サブブランド系であるY!mobileとUQモバイルは12時~13時でも30~40Mbps程度、それ以外の時間帯も40Mbps以上ということで、通信速度に関してはダントツです。
このようにサブブランド系は通信速度が速いですが、月額料金が高いのがデメリットです。先ほどもお話した通り、同じ3GBプランでもLINEモバイルとY!mobileとでは毎月1,000円程度の違いがあります。
その他の格安SIMは、昼の時間帯は1Mbps前後が多く、速いところでも3Mbpsいかないくらいです。それ以外の時間帯は15Mbps~40Mbpsといったところです。
LINEモバイルのソフトバンク回線はお昼が1Mbps程度、それ以外の時間帯が20Mbps程度でしたが、今回のネットワーク増強工事によってお昼が5Mbps程度、それ以外が15Mbps~40Mbpsとかなり改善されています。
上記データから見てもわかる通り、昼の時間帯で5Mbpsはかなり優秀です。サブブランド系に及ぶまでとはいきませんが、通信速度ど料金はトレードオフなので、どちらを重視するかによります。
通信速度を重視するのであればサブブランド系は優秀ですが、正直なところそこまでの速度が必要なケースは多くありません。
先ほどもお話した通り、LINEモバイルのソフトバンク回線は快適に使える速度は十分に満たしている上、SNSの使い放題もあるため、他社格安SIMと比較しても高コスパでおすすめです。
まとめ
LINEモバイルのネットワーク増強について解説しました。
今回のネットワーク増強でかなり通信速度が改善され、他の格安SIMと比べても一歩抜けたなぁという感じです。昼の通信速度が落ちるというのはどの格安SIMでもネックですので、そこが強くなったのはかなり評価が高いですね。
ドコモ、auのスマホでもSIMロック解除をすればソフトバンク回線で使えるため、これからLINEモバイルを使う場合は多少面倒でもそうした方が良いでしょう。
LINEモバイルへの乗り換え方法は以下の記事で詳しく解説しているので、気になった場合はぜひ参考にして下さい。